はじめに

開発PMとして5年。最初の現場で渡されたのは、びっしり埋まったExcelのWBSでした。

「これで管理できてるんだから大丈夫」——そう言われて始まったプロジェクト管理。最初はそれなりに回っていました。でも、チームが5人を超えたあたりから少しずつ歯車が狂い始め、10人を超えた頃にはExcelの限界を痛感するようになりました。

この記事では、Excel管理で苦しんだ経験と、いくつかのツールを試した末にたどり着いた「本当に必要だった管理の形」について書きます。同じような悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

Excel管理の”あるある”パターン

開発現場でのExcel管理、だいたいこのあたりに落ち着きませんか?

1. WBS(Work Breakdown Structure)

プロジェクト開始時に作る「最強の計画表」。タスク名、担当者、開始日、終了日、進捗率…。作った直後が一番美しい。

| No | タスク名          | 担当  | 開始日  | 終了日  | 進捗率 | 備考        |
|----|-------------------|-------|---------|---------|--------|-------------|
| 1  | 要件定義          | 田中  | 4/1     | 4/15    | 100%   |             |
| 2  | 基本設計          | 佐藤  | 4/10    | 4/30    | 80%    | レビュー待ち |
| 3  | 詳細設計(画面A) | 鈴木  | 4/20    | 5/10    | 30%    |             |
| ...| ...               | ...   | ...     | ...     | ...    | ...         |

2. 進捗管理表

週次の進捗会議のために毎週更新するシート。各担当者から口頭やチャットで「今週やったこと」をヒアリングして、PMが手動で転記する。

3. 工数集計シート

月末にメンバーに「今月何時間使った?」と聞いて回り、集計するシート。だいたい月初の1-2日はこの集計作業で潰れる。

4. リソース配分表

複数プロジェクトを掛け持ちしているメンバーの稼働割合を管理するシート。「Aさんはプロジェクトαに60%、βに40%」のような配分。現実との乖離が激しい。

これらが別々のExcelファイル(ときにはGoogleスプレッドシート)として存在し、それぞれを手動で更新し、整合性を保つのがPMの仕事——という状態でした。

規模が大きくなると破綻する3つのポイント

破綻ポイント1: 属人化

Excelの管理シートは、作った人のルールで動いています。

  • VLOOKUP、条件付き書式、マクロ——作った本人以外はメンテできない
  • 「このセルの色は何を意味しているんですか?」が頻発
  • PMが休んだ日は進捗が更新されない

私のチームでは、あるPMが育休に入った際に引き継ぎだけで2週間かかりました。引き継ぎ先のPMも結局使いこなせず、新しいExcelを一から作り直すことに。

破綻ポイント2: 集計コスト

「今、プロジェクト全体で何%完了しているんですか?」

経営層からのこのシンプルな質問に答えるために、毎回こんな作業が発生します。

  1. 各メンバーに進捗をヒアリング(チャットで聞いて回る:30分)
  2. WBSを更新(転記作業:30分)
  3. 進捗率を再計算(関数の確認含む:20分)
  4. レポート用の別シートにまとめる(体裁を整える:30分)
  5. グラフを更新する(データ範囲がズレてないか確認:15分)

合計で 2時間以上。これが毎週発生します。月に8時間以上を「情報の転記と集計」だけに使っていることになります。

しかも、この集計が終わった時点で情報はすでに数日前のもの。リアルタイムな状態把握とは程遠い。

破綻ポイント3: リアルタイム性の欠如

Excelは基本的に「誰かが更新しない限り古いまま」です。

  • 進捗率が「80%」のまま2週間変わらない(本当は詰まっている)
  • 工数実績は月末にしかわからない(月中での軌道修正ができない)
  • リソースの過不足に気づくのがいつも手遅れ

特に致命的だったのが、問題の発見が遅れること。あるプロジェクトで、メンバーの一人がタスクに詰まっていたのに進捗報告では「順調」と報告されていて、2週間後のレビューで初めて遅延が発覚——というケースがありました。結果、リカバリーに追加で1ヶ月かかりました。

Excel管理の最大の問題は、「状態を正しく把握するコスト」が高すぎて、本来やるべき「判断と対策」に使える時間が残らないことです。

既存ツールを試して感じた「帯に短し襷に長し」

Excel管理に限界を感じてからは、いろいろなツールを試しました。

Backlog系ツール

よかった点:

  • チケット管理として優秀。タスクの起票と進捗管理はExcelより断然楽
  • ガントチャートが標準搭載

足りなかった点:

  • 工数実績の記録・集計が弱い。結局「何時間使ったか」はExcelに戻る
  • プロジェクト横断でのリソース管理ができない
  • 進捗の分析機能がほぼない。「バーンダウンチャート」はあるが、予実比較やコスト分析は自前で集計が必要

Jira

よかった点:

  • カスタマイズ性が高い。やりたいことは大抵できる
  • プラグインエコシステムが豊富

足りなかった点:

  • 設定が複雑すぎて、PMの立ち上げ工数が大きい
  • 工数管理のプラグインを入れても、入力が面倒でメンバーが使ってくれない
  • ライセンスコストが小規模チームには重い

Notion / スプレッドシート系

よかった点:

  • 自由度が高い。データベース機能でかなり柔軟な管理ができる
  • テンプレートが豊富

足りなかった点:

  • 自由度が高すぎて、結局Excelと同じ「属人化」問題が起きる
  • 分析・可視化は結局手動。関数やリレーションを駆使しても限界がある
  • 大規模になるとパフォーマンスが落ちる

共通して感じたこと

どのツールも「タスク管理」は得意でした。でも、私が本当に困っていたのは「タスク管理」そのものではなく、タスクの実績データを集計・分析して、プロジェクトの状態を正確に把握することでした。

つまり、必要だったのは「管理ツール」ではなく「管理+分析が連動する仕組み」だったのです。

「必要なのは”分析込みの管理”だった」という気づき

いくつかの現場を経験して、プロジェクト管理で本当に重要なのは以下の3つだと気づきました。

1. 実績データが”自然に”溜まる仕組み

メンバーに「工数を入力してください」と催促し続けるのは非生産的です。日常のワークフロー(日報を書く、カレンダーでスケジュールを管理する)の延長で、自然に工数実績が記録される仕組みが理想です。

理想の流れ:
  カレンダーで予定を管理 → 日報を書く → 実績工数が自動記録される
  (予定をワンクリックで実績にコピーできると、入力負荷がほぼゼロ)

2. 集計・分析が自動で行われる仕組み

データが溜まったら、次に必要なのは自動集計です。

  • バーンダウンチャート: 計画通りに進んでいるか?
  • 予実比較: 見積もりと実績にどれくらい乖離があるか?
  • コスト分析: 予算をどれくらい消化しているか?
  • 遅延タスク分析: どのタスクがボトルネックになっているか?

これらが手動でデータを集めなくても自動で見える状態が、PMの意思決定の質を大幅に上げます。

3. リソースの全体像が見える仕組み

メンバーの稼働状況がリアルタイムにわかれば、以下の判断が素早くできます。

  • 誰が負荷超過で、誰に余裕があるか
  • 複数プロジェクト間で最適な人員配分はどうすべきか
  • 増員が必要なタイミングはいつか
          PJ-α    PJ-β    PJ-γ    合計    キャパ   過不足
田中      80h     40h      -      120h    160h     余裕
佐藤      40h     80h     40h     160h    160h     適正
鈴木      80h     80h     40h     200h    160h     ★超過

たどり着いた解決策

こうした要件を満たすツールを探す中で、最終的にたどり着いたのがdevDashというツールでした。

実績が自然に溜まる

devDashでは、カレンダー上でタスクスケジュールを管理し、日報機能と連動して実績工数が記録されます。「予定をワンクリックで実績にコピー」できるので、入力の手間はほぼゼロ。

「実績が入力されない問題」——これは入力が面倒だから起きるのであって、面倒さを排除すれば解決する、というシンプルな話でした。

分析が自動で回る

個人的に最も助かっているのがここです。実績データが溜まると、以下が自動で集計・可視化されます。

  • バーンダウンチャート(理想線 vs 実績線)
  • タスクの予実比較(見積工数 vs 実績工数)
  • 予算消化状況
  • 遅延タスクの一覧と推奨アクション

週次の進捗報告のために「データを集めてExcelに転記して…」という作業から完全に解放されました。

担当者×ステータスのマトリクスビュー

これは使ってみて初めてわかった便利さですが、「誰が」「何を」「どういう状態で」持っているかが一画面で把握できるマトリクスビューが地味に強力です。

         未着手    進行中    レビュー中    完了
田中       2        1          1          5
佐藤       1        2          0          3
鈴木       3        1          1          2

朝会でこの画面を見ながら「鈴木さん未着手が溜まってきてるけど大丈夫?」と声をかける、という使い方をしています。

AI機能

AIによるタスク提案や工数見積もりの自動算出もあります。議事録を貼り付けるとタスクを自動抽出してくれる機能は、会議後のタスク起票の手間を大幅に削減してくれました。

まとめ

Excel管理を卒業するまでに学んだことを整理すると、こうなります。

段階やっていたこと問題
Excel期WBS、進捗表、工数集計を手動管理属人化、集計コスト大、リアルタイム性なし
ツール導入期Backlog/Jira/Notionでタスク管理タスク管理は改善したが、分析・集計は依然手動
現在管理と分析が連動するツールを活用実績入力の負荷↓、集計の自動化、状態の可視化

大事なのは「どのツールを使うか」ではなく、「管理のための管理」に時間を使わず、判断と対策に集中できる仕組みをどう作るかだと思っています。

Excel管理に疲弊しているPMの方がいたら、まずは「実績データが自然に溜まる仕組み」から変えてみることをお勧めします。そこが変わると、後の集計・分析・判断のフローが連鎖的に改善していきます。


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